
こんにちは、mika( @europe_life15)です。
わたしは現地スペイン企業とのプロジェクトで、日本企業との架け橋を担当していました。
そんな中、海外企業と日本企業の大きな違いを身をもって体験することとなりました。
海外から見た日本、よく言われる「スピードが遅い」「気にしすぎる」が海外企業と比べてどう遅いのか、どう気にしすぎるのか、今までは見えていませんでした。
それが、実際に自分が体験したことではっきりわかったことがあります。
- 「スピードが遅いとは、考える時間が長くて決められない」
- 「気にしすぎるとは、数字や体裁などにとらわれすぎる」
世界各国の企業と比較してそう感じました。
これからの日本企業に求められるのは「チャンスをチャンスのうちに掴む」ことではないかと思います。
世界の変化を受け入れ進化していくこと。
世界の変化にどう対応できるかによって各国の競合たちに負けない競争力をつけることが、これからの日本企業に必要になっていくと感じています。
今日の記事では、そう感じた実際の出来事と日本企業への想いをシェアしたいと思います。
目次
日本企業は動き出すまでが遅い
日本企業は動き出すまでに時間がかかっている印象です。
情報や興味の鮮度が高いうちに行動する海外企業と異なり、条件やデータを揃えるのに時間をかけ、稟議を通すための資料づくに時間を割いているんでしょうか。
当初の興味はどんどん薄れていき、情報・興味の鮮度は落ちる一方。
商品が良ければそ以外のデータ集めは二の次という海外企業と比べると、この時点でスピードに差が出ていると感じました。
日本企業の特徴

これはわたしが実際に感じた、今の日本企業の特徴です。
とにかく「スピードが遅い」「体裁にこだわる」といった点が印象的でした。
- 日本企業は「体裁」にこだわる
- 日本企業は「資料」にこだわる
- 日本企業は「データ」にこだわる
- 日本企業は「見え方」にこだわる
- 日本企業は「事前条件」にこだわる
もちろんすべての企業がこうではありませんが、そう感じる企業が多かったことは事実です。
また、契約どころかサンプル製品さえも試していないのに「契約条件を教えてください」といわれる企業さんの多いことにも戸惑いました。
商品使用前に契約条件を気にする日本企業
契約条件を知るのは大事です。それによって受注計画・流通計画を練ったりするわけですし、会社の経営戦略(売上予測)にもかかわってきます。
ですが、どんなに予測で計画を立てても、そもそも商品が気に入らなければ(あわなければ)綿密な計画は水の泡です。
そこに費やしたデータ作成・分析の時間もすべてが無駄になってしまいます。
- 最小受注量
- 最小発送料
- マーケティング費用
などの情報は、サンプルを使ってみて気に入ってから(その企業で本格的に導入したいか)を判断してから気にするでも遅くはないと思います。
条件よりもまず、「その商品がいいか」「市場にあうか」が先ではないでしょうか。
社内稟議に時間のかかる日本企業
- とりあえずサンプル送ってください
- サンプルがないと何とも言えません
多くの日本企業からよく言われた言葉です。
サンプルがないと判断できないのはよくわかります。良いと言われてる製品でも実際に使ってみないと本当に良いかどうかはわかりませんから。
ですが、日本企業が口にする「とりあえずサンプルください」は、少し違うニュアンスを含んでいました。
「サンプルがないと何とも言えません」は、「サンプルがないと(社内の稟議に通るかが)わかりません」という意味で使われているケースが多いことを知りました。
日本企業の場合は、社内上層部への報告のためにサンプルが必要になるんですね。
- こんな製品みつけました
- 〇〇っていうんですけど
- これが実物です
- どうでしょう?
といった段階を踏んではじめて、「乗り気か乗り気じゃないか」の判断が下されるように感じました。
海外企業は動きが早い

一方の海外企業は、使って良かったらすぐに販売計画や契約条件面をすり合わせます。
ある意味、販売計画なんてあってないようなものです。
- 製品が良かったからとりあえず売ってみる
- 市場の反応が良ければ販売拡大するし
- 反応がなければ撤退するだけ
といった感じで、市場のニーズを柔軟にあわせていきます。
海外企業の「サンプル送ってください」という言葉は、「とりあえず製品に興味がある」「使って良かったら本格的に販売(参入)していきたい」という意志の現れです。
日本企業のように「(社内稟議に通すから)とにかくサンプル送ってほしい」ではなく、「いい製品かどうかを知るために」使ってみたいというスタンスです。(だからサンプルっていうんですよね?)
海外企業の特徴

先に挙げた「日本企業の特徴」と比較してみましょう。
海外企業の特徴は、「スピードが早い」「企業規模や体裁は二の次」といった点が印象的でした。
- 製品がいいから興味をもつ
- 一に製品、企業規模は二の次
- 資料やデータは参考にあればいいけど必須ではない
- 興味を持ってからの行動が早い。
- 小企業でも大企業と取引するチャンスがある
興味のある製品があったら試す。試して良ければ販売する。と、実にシンプルです。
製品ありきの販売。メーカーの企業規模(設立や従業員数など)は文字通り「二の次」です。
体裁や規模を気にする日本企業と比べ、製品そのものの可能性を試せる海外企業の方がビジネスチャンスが広いと感じました。
隠れた良品にも「日の目が当たるチャンス」が多いからです。
チャンスの間口が広い海外企業
先に触れたとおり、海外企業は製品ありきです。
会社規模や過去の売上実績にかかわらず、製品が良ければ受け入れてもらえることが多いので、必然的にチャンスの間口は広がります。
企業規模や売上推移などのデータや実績を気にする日本企業とは違って、海外企業は相手の企業規模には寛容です。
世界一ともいえる企業のひとつ「スペインを代表するファストファッショングループ」がわたしたちのような創立間もない小さな企業に会ってくれるのも、製品ありきだからです。
日本では考えられないですよね。
世界一のトヨタ自動車の品質管理統括部長が、創立間もない小さな企業の営業を受けてくれるとは思えませんし、門前払いで訪問アポイントさえ取れなそうです。
それと同じレベルのことが海外企業では叶うことがあるんです。いい製品があれば、その製品目当てに大企業へも訪問できる。
もちろん、すべての企業がそうとは限りません。門前払いされるケースだってたくさんありますし、心が折れかけることは何度もあります。
しかし、「大企業との接点を作るチャンスがある」「訪問を受けてもらえることがある」というだけでも十分大きなチャンスになり得ることは確かです。
ニーズのあるうちにニーズをつかむ海外企業
海外企業は、目をつけた製品の市場投下がスピーディーです。
国によって原材料に関するルールや法律は異なりますので、そこに関してのプロセスには時間を割くことになりますが、それでも日本とは比べものになりません。
社内稟議を通すのに時間がかかる日本企業と比べ、海外企業は興味の鮮度が高いうちに行動することで「チャンスをチャンスとして掴んでいる」ように感じました。
興味があるということは、前提として「マーケットのニーズにあっている」ことが挙げられます。じゃないと興味を持ちませんよね。
「ニーズのあるうちにニーズのある商品を投下する」ことで消費者の関心を逃さず、マーケットを作り出すことにも繋がっているんじゃないかと思います。
日本企業はもっと貪欲になった方がいい

日本が経済大国だった時代は過ぎました。「世界一日本」「経済大国日本」の看板も廃れてきている印象です。
海外に住むいち日本人の目線から見ても「日本は日本人が思っているような評価ではない」ですし、絶賛なんてされていません。日本は「アジア諸国の一国」にすぎません。
日本食は素晴らしいし日本の技術はすごいです。それは世界共通で知られていることだし事実だと思います。
ですが、海外の視点から見ると「うん、だから?」なんです。
言い方は悪いですが、日本はひとつの経済国ではあるけれど世界一ではない。経済インパクトでいえば中国の陰に隠れている「かつての経済大国日本」なわけです。
その中国でさえビジネスチャンスにはかなり貪欲ですから、日本が体裁を気にしている間にどんどん距離を離されていくことにもなりかねません。
社内稟議を通すための資料づくりに躍起になり数字やデータばかりに気を取られていては、せっかくのビジネスチャンスを水に流しているのと同じです。
変化と進化が問われる日本企業

保守的で神経質、新しいことへのチャレンジに腰の重い日本企業は、世界の企業からどんどん後れをとることになるとわたしは感じています。
今までは日本国内だけに目を向けた経営戦略で伸びた時代だったのかもしれませんが、これからは世界各国すべての企業が競合ともいえる時代です。
これまでと同じように「社内の中」「会社の中」「日本の中」だけに目を向けていたんでは、世界各国の競合たちには立ち向かえません。そもそも日本は言語的にも出遅れていますから・・・。
日本企業は世界からもっと学べることがたくさんあると思います。
日本の文化やいいところを継承しながら世界の変化を受け入れ、進化していくことだってできると思っています。
そこに企業規模は関係ありません。
しかし、小回りの利かない大企業よりは変化を柔軟に受け入れられる中小企業の方が変化しやすいぶん、ある意味チャンスかもしれません。
さいごに

この記事の背景には、わたしが現地企業と連携して進めていたプロジェクトの経験があります。
日本企業はもう「昔ながらの古き良きな企業体質だけでは世界の競合に勝ち得ないだろう」と、身をもって感じた経験です。
- 他国企業とは比べものにならないスピードの遅さ
- まだ何も始まっていないのに気にする体裁や条件
そんな日本企業の実態を垣間見て、現地企業の担当者が驚いていたほどです。
わたしも日本人ですから、日本の文化・食事・風習などが褒められたりするのは素直にとてもうれしいです。だからこそあえて辛口に書かせてもらいました。
- 廃れつつある日本の経済・企業にもう一度返り咲いてほしい
- 世界の競合に負けないでほしい
この記事にはそんな願いを込めています。
「チャンスをチャンスのうちに掴む」
これから世界へ踏み出す日本企業に意識してほしいことです。