こんにちは、Mikaです。
ニュースでご存知の方もいるかと思いますが、フランスは2018年11月から続く『黄色いベスト運動』と呼ばれる「ジレジョン」(Gilet Jaune)が猛威を振るっています。
この騒動の良し悪しは置いといて、ここから見えたフランス人の思想を掘り下げ、記事にしました。
黄色いベスト運動は、なぜ起こってるのか?
事の発端は、2018年11月。燃料高騰に対する政府への反論でした。
詳しい成り行きは👇の記事が参考になります。
わかりやすい「フランスの黄色いベスト運動」とは(1)普通のデモの広がりからシャンゼリゼの暴動まで
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20181228-00109261/
わかりやすい「フランスの黄色いベスト運動」とは(2)マクロン大統領は本当にお金持ち優遇か
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20181230-00109267/
【環球異見】仏「黄色いベスト」運動
https://www.sankei.com/column/news/181224/clm1812240003-n1.html
権利、主張したもの勝ち
フランスの文化は権利を最大限にアピールします。主張したもの勝ちなんですね。
なので日常の小さなことにも常に主張しつづけますし、一度言いだしたら絶対に引かない強さも持っています。(良いか悪いかは別として…)
#Acte7 Tir de grenade sur un blessé à #Rouen !
A 14h, après 4h de manifestation sauvage, la police a tiré au lanceur Cougar des grenades #GLIF4 (25g de TNT) sur les #giletsjaunes. Plusieurs blessés à déplorer. Une seconde explosion manque de peu une personne blessée au sol ! pic.twitter.com/FfuCzK7KMD— Rouen dans la rue (@Rouendanslarue) 2018年12月29日
#Paris Un homme est touché au visage suite à un tir de grenade de desencerclement. Il s’agirait de Jérôme Rodrigues un des leaders du mouvement Gilet Jaune.#GiletsJaunes #ActeXI #Acte11 #26Janvier #26Janvier2019 pic.twitter.com/v18maWcU5W
— Stéphanie Roy (@Steph_Roy_) 2019年1月26日
動画:仏「黄ベスト」デモ12週目、治安部隊と衝突
http://www.afpbb.com/articles/-/3209455
焦点:仏黄色いベスト運動、財政拡大路線がユーロ圏に波及も
https://jp.reuters.com/article/yellow-vest-euro-zone-bond-idJPKCN1PA0HE
自分たちのもつ権利を守るために主張が大切なのはわかります。人権を侵されたら誰だって抵抗したくなりますもんね。
けれど、主張がエスカレートして「破壊行動」や「人を傷つける行動」につながっているのはちょっと違うんじゃないかなと個人的には思います。
とはいえ、フランス人全員が黄色いベスト運動に賛同しているわけではありません。
破壊行動に反対するフランス人たち一同が黄色いベストに対抗して、「赤いスカーフ」(Foulards Rouges)を掲げる人たちが新たに立ち上がりました。
パリで27日、反政権運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」の暴力行為に抗議するデモが行われ、1万人以上が参加した。参加者が赤いスカーフなどを身に着けてデモ行進するこの対抗運動は「フラール・ルージュ(赤いスカーフ)」と呼ばれている。 https://t.co/BBnOMGXpuy
— ulala france (@ulala_go) 2019年1月28日
パリで「赤いスカーフ」隊がデモ 「黄色いベスト」の暴力に1万人超が抗議
http://www.afpbb.com/articles/-/3208376
満足しない
権利・主張するフランス人。
そもそもなにをそんなに主張するのか?と思うところもあります。が、彼らは常に「満足しない」思想なのです。
日常のどんな些細なことでも不平不満を口にします。
ざっと挙げるだけでもこれらの話題は毎日のように耳にする定番な話題です。
- 給料が安い
- 燃料が高い
- 税金が高い
- 物価が高い
- 仕事がない
- 道路が混んでる
- (人が)働かない
- ミスばっかり
- 与えられた仕事さえもしない
- 親切じゃない
- 病院が混んでる
- 教育がイマイチ
もしかしたら日本でも同じなのかもしれません。
フランスだけでなく、ほかの国でも同じかもしれません。ちなみに、お隣スペインもほぼ当てはまります。でも国民性は大きく違います。
なぜか・・・?
フランス人の思想の1つに「満足しない」があるからではないかと個人的には思ってます。
『(いろいろ不満なこともあるけれど)こんなにしあわせなこと・ものがたくさんあるよね。』と思いながら過ごすのか、『いろいろ不満だからしあわせじゃない』と思いながら過ごすのか、どちらが精神的なゆとりを生むのかは一目瞭然じゃないかと思うのです。
ヘルプを受けてる彼らのいち意見で、
『国からあらゆるヘルプが得られるフランス政府にもっと感謝するべきだし、敬いの気持ちを持った方がいい。
何を得ても常に不満足なら、どんなムーブメントを起こしたって意味ないじゃないか。』
って、真っ当な意見だと思う。#GiletsJaunes https://t.co/zQ5HI1zbxL
— Mika Connolly (@europe_life15) 2019年2月10日
ジレジョン・ムーブメント
黄色いベスト運動(ジレジョン)は今、ただのデモではなく政治活動へ一歩踏み出しました。 フランスではこれを、ジレジョン・ムーブメントと呼ばれています。
ジレジョンに賛同していた全国のメンバーが、政府を動かすために(反論の威力を増すために)立ち上がったのです。
仏「黄色いベスト」運動、政治団体へ 5月の欧州議会選に候補者擁立
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/01/post-11589.php
フランスの反政権運動「黄色いベスト」の参加者らが23日、5月の欧州議会選挙に候補者を擁立すると発表した
緩やかな組織が特徴の同運動には指導部がない。「この運動を支持してきた人々に答えを与えることができる政治プロジェクトへと変える必要がある」と訴えたhttps://t.co/En0SaZfJRu
— ulala france (@ulala_go) 2019年1月25日
もともとの発端は自分たちの発言を政府へ突き付け、「政府の言いなりになるか!」「国民をもっと見ろ!」的な意味合いが強かったこともあり、政治活動へと進展したジレジョン騒動はある意味彼らの思惑どおり…。
わたしたち外国人から見ても、このような空気をひしひしと感じます。
- 主張したからこそ意見が通った!
- だから今後も(何かあったら)主張したもの勝ちだ!
この一連騒動と展開が、これから国を背負っていく若い世代にネガティブ影響を与えなければいいのにな…と願うばかりです。
さいごに
今回の記事では、黄色いベスト(ジレジョン)騒動からフランス人の「思想」について考えてみました。
この騒動そのものが「良いか・悪いか」、彼らの意見が「真っ当か・真っ当じゃないか」、政府の対応が「正しいか・正しくないか」、などはあえて書いていません。
この騒動を通してフランス人の考えを掘り下げただけです。
わたしは裁判官ではないので、騒動そのものも、彼らに対しても、政府に対しても、判断したり判定する気は1ミリもありません。ただ、事実としてお伝えできるように努めました。
「良いか・悪いか」「正しいか・正しくないか」は、置かれている環境や立場によってひとりひとり違う捉え方があり、違う意見があります。そこにいい悪いはないと考えているからです。
ので、それを前提にこの出来事を捉えていただければなと思います。